ほんものの希望
日本は、史上はじめて同じ年に2人のノーベル賞受賞者を出しました。
北朝鮮に拉致された被害者の多くが不審死を遂げていたり、デフレ不況との戦いが続いていたり、厳しいニュースがあまりにも多いなかで、素晴らしい光が射しました。
しかし、この嬉しい知らせもただ喜ぶだけでは「一服の清涼剤」になってしまいます。
私は、今回のダブル受賞は、実は日本にとって根本的な、そしてこれから長くこの国の再生を支えていくために大きな意味がある出来事だと考えています。
日本は、これまで経済大国と評されていたときにも「基礎科学の研究は苦手な国」と、世界から見なされてきました。それが、日本人の心の深い部分で劣等感や不安につながっていたと思います。
だから、今のように目先の景気が悪くなったり株が下がったりすれば、どうしても慌てふためいたり、身を縮めたりしがちで、それがまた経済を縮小させる悪循環に陥ってきました。
これからは、「うわべの経済が少々悪くなっても、基礎科学で世界を圧倒する力を持っているから慌てなくても良い」と変わる転換点になるのが、今回の受賞です。
慌てたり萎縮したりしなければ、消費者は貯蓄するばかりではなくモノを買うようになります。企業も設備投資の意欲を回復させて、経済の血液であるマネーが回り始めます。さらに、中国の脅威が日本の自信を奪っていたことに対しても、想像以上に効果をもたらします。基礎科学の分野で日本のレベルに追いつくことは、中国にとって非常に困難なことです。韓国やシンガポールなども同じです。
ノーベル賞のダブル受賞は、他のアジア諸国に日本の底力を見せつけたことになり、アジアの本当のリーダーは日本であることを、まさしく証明しています。
西播磨テクノポリスで働く、たくさんの研究者にとっても勇気百倍の頼もしいニュースだったと思います。特に、サラリーマン研究者の受賞は、実験をひたすら積み重ねるような地道な努力にも光があたることを証しました。これぞ日本の得意技であり、絶対のアドバンテージ(有利さ)を持てば、中国脅威論などコソコソと姿を消してしまうでしょう。
私は、小泉純一郎総理が内閣改造を行ったときに、ちょうどこの発表があったことも、何か運命的なものを感じます。小泉さんは、古い派閥の「推薦」を見事に無視して、本当に実力だけで閣僚を選びました。衆院当選がまだ4回の大臣が4人もいるのは、実は画期的なことなのです。当選5回以上で、大臣未経験者がヤマほどいるのですから。まだ40歳代の実力派研究者がノーベル賞を受けたのと良く似ていますね。これは、『ほんものの希望』につながるでしょう。
2002年10月19日
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