テロ事件に隠された『日本問題』
アメリカの中枢が卑劣なテロリズムで攻撃された事件が、世界を揺さぶっています。犠牲になったすべての人々に哀悼を捧げるとともに「アメリカだけでなく、世界中が取り組もうとしているテロリズム退治に、日本もいよいよ覚悟を決めて参加するときが来た」「小泉政権の“構造改革”を、外交・安全保障の分野においても進めなければならない」と、強く信じます。私は、政権党の一員として、それを支え、実行していきます。
ここで、私は、衝撃的な映像には現れない問題─それも、アメリカではなく、日本の問題を考えてみたいと思います。
この事件で悲しいことの一つは、「1941年の真珠湾攻撃と似ている」とする論評や風潮が、アメリカの一部に現れていることです。当時の日本海軍は、あくまで、戦艦、戦闘機を攻撃したのであって、民間人を無差別に虐殺した今回のテロとは、本質から異なります。ところが「卑怯な抜き打ち攻撃で、むしろアメリカを目覚めさせた点で同じだ」と言われているのです。
真珠湾攻撃は、本当は抜き打ちではありません。外務省の駐米日本大使館が、日本政府から宣戦布告の暗号電報を受け取りながら、それを英語に書き起こすのが遅かったために、米政府に渡したのが攻撃の後になってしまったのです。なぜ日本の外交官はそんな愚かなことをしたのか。史実によれば、なんと彼らは外交官の人事異動にともなう歓送迎パーティにうつつを抜かし、攻撃当日の朝、遅刻したのです。
この外交官の怠慢は、現在の外務官僚と重なります。外務官僚は、国民の血税を使って酒色にふけり、外交が日本の生命線を左右するさなかに、逮捕者を次々と出しています。
そして、日本外交官の堕落は、実はいまも国益を損ない続けているのです。事件を引き起こした「イスラム原理主義」は、外交官が情報収集を怠って世界情勢をリアルタイムに伝えなかったために、日本にとっては遠い国の人種問題や宗教対立のように受け止められていますが、それは本来、グローバル化の中で日本の果たすべき役割を考えた時、もっと高い認識を持っていなければならない分野なのです。私は、サラリーマン時代に、アメリカやヨーロッパ、アジアなどで海外勤務も長く経験しました。海外で目にする日本外交官は、遅刻によって宣戦布告を事後報告にしてしまった真珠湾攻撃当時の姿と、基本的には変わりませんでした。
 日本の最も密接な同盟国であるアメリカが襲われ、そのアメリカがテロを撃退しようとし、横須賀基地からミサイル巡洋艦がすでに出撃しています。横須賀以外にも米軍基地を多く持つ日本が、テロの対象となる可能性も強いと考えなければなりません。だから、イスラム原理主義にどう立ち向かうかは、もはや日本問題であり、これを「遠い国でのこと」という印象を与えてきた外務官僚やOBたちの責任は、大きいと断じざるをえません。
政府は、アメリカが日本に何を求めているのか、コミュニケーションを密にとるべきです。今回の対応は、民主主義と安全保障の根幹にかかわる最優先課題です。そして、日本が国益を踏まえてきちんと行動するための足腰を鍛える、危機管理を磨く絶好の機会でもあります。
昨夜、小泉総理はテロ報復攻撃への支援策を発表しましたが、私は、あくまで憲法の枠内で武力行使と一体化しない最大限の協力に賛成です。9月27日に召集される臨時国会では、燃料補給、物資輸送、医療サービス等を目的とした自衛隊派遣が可能となるよう、一日も早く法的措置を講じるべきです。そして、決して外務官僚をあてにはしないで、政治主導、政治家の決断で実行すべきです。
アメリカへの悲惨なテロ事件を契機に、構造改革とともに外交・安全保障改革を進めるためにも、私は、どうしても国政に戻らなければなりません。
2001年9月19日
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