国民直接参加の政治改革
「私がたったの一票を投じて何になるの」残念ながら、この無関心と荒廃がますます広がっています。
思えば海部政権の時代から、自由民主党が主体となって取り組んできた政治改革は、小選挙区制という新制度を生み出しました。政治資金規正法の改正も実現しました。
私は、一つの選挙区のなかで与党候補と野党候補が、政策をぶつけ合う傾向が強まったことは公平に評価します。カネの流れも、幾分かはきれいになったと見ています。
しかし、政治改革の目標とは、あくまで国民を政治の主人公にすることであり、それが充分に実現したとは考えていません。
 すなわち、もう一段、目線と志を高くに据えた政治改革が新世紀に必要です。
20世紀最後に行われたアメリカの大統領選挙は、開票をめぐる不手際ばかりに目を奪われがちですが、最高リーダーを有権者が直接選ぶ醍醐味、その大きな意義をあらためて考えさせます。
アメリカ国民は迷いつつも、民主党政権に別れを告げて、ブッシュ共和党候補に政権を渡しました。
民主党のクリントン政権で空前の好景気を享受したのですから、本来は政権交代があるはずはなかったのです。学者たちも今は口をつぐんでいますが、ほとんどがゴア候補の勝利を予測していました。
なぜ共和党か。それは、外交と安全保障という米国民の関心の高いテーマで政権交代の必要を感じたためだと、私は考えます。
ブッシュ新大統領は、あれほどのきわどい接戦で当選しながら、いったん当選が確定したあとは、迷うことなく国務長官に軍出身のパウエル元統合参謀本部議長を選び、さらに国防長官にも、軍出身で北朝鮮や中国のミサイルに極めて厳しい姿勢をとるラムズフェルド元国防長官をあえて再起用しました。
これを見て、クリントン現大統領はノーベル平和賞を目指して北朝鮮を訪問したいという野望を諦めざるを得なかった。
見事な、アメリカ外交の軌道修正です。
これがなぜブッシュさんにできるか。それは、接戦だろうがなんだろうが、アメリカ国民に直接選ばれたからです。

私は考えます。
日本でも、国民が直接に最高リーダーを選ぶ「首相公選制」を、本当の意味で検討するのが新世紀であり、政治改革の新展開です。
 首相公選制は、すでにメディアのアンケート調査などによれば、国会議員の過半数が支持し、国民の6割以上が支持しています。
しかし、これまではたぶんにムードだけで歓迎されてきました。「国民の政治への無関心が解消できる」「公選首相ならリーダーシップが発揮できる」、この強い期待感はよく理解できます。しかし、具体的、客観的に検証はされていません。
また、後藤田正晴・元官房長官のように「日本で公選首相をつくれば独裁者になりやすい」という反対論もあります。
私は、メリットとデメリットの具体的な研究を、国会が責任を持って開始する時機が到来したと考えます。憲法改正が当然、不可欠なわけですから、憲法改正 試案も、今までとは違った意味で必要です。
そして、研究結果を全て国民に開示し、最後は国民投票にかけるべきです。憲法改正にはもともと国民投票が必要と定めてられていますが、私はこの件に関しては、その前に予備的な国民投票(法的拘束力はない)にかけることがあって良いと考えます。
そのこと自体が、国民の政治的無関心の解消に大きく役立つし、新世紀の政治は国民が直接参加するんだという意識を高めるからです。
首相公選制を導入すれば全部が解決するんだというような、旧来の発想ではなく、国民の無関心に何度も揺さぶりをかける粘り強い政治的努力が求められているのです。

 
|